伊藤園は、2種類の株式を上場しており、おじさんは第一種優先株式というものを保有しています。今日は伊藤園に対する投資について書きます。
優先株式と普通株式の比較もしていきます。
伊藤園の事業内容
伊藤園と言えば「おーいお茶」の会社として有名です。
おーいお茶だけの会社だと思っている人も多いと思いますが、浸透しているもう一つのブランドとして、「充実野菜」があります。え、充実野菜ってカゴメじゃないの?とお思いの方、カゴメは「野菜生活」ですのでお間違いなく。と言ってもどちらも人気の野菜ジュースブランドですね。
その他、チェーン展開している「タリーズコーヒー」や、ヨーグルトが子供に人気の「チチヤス」も伊藤園の関連会社です。
さて、伊藤園の業績ですが非常に安定しています。おーいお茶と言えば、コンビニで何も考えずに自動的に手に取ってしまう人も多いと思います。また、濃い味やほうじ茶などが隣に並んでいるので、おじさんはローテーションで回してしまいます。安定した業績は、コアなファンをつかんでいるからだと思います。
伊藤園の最近の業績をWeb Siteより転記します。

連結売上高は5000億円を超えたところ、少しずつですが右肩上がりです。利益も安定しています。
伊藤園単独での売り上げの構成は、飲料(お茶・コーヒー・野菜ジュース)が90%で茶葉の販売が10%とのこと。単独売上高は3944億円とのこと。茶葉の売り上げもそこそこあるのですね。

伊藤園が上場している株式の種類(普通株式と第一種優先株式)
そんな伊藤園ですが、議決権のある普通株式と議決権のない第一種優先株式の2種類を東証一部に上場しています。それぞれ次のような特徴があります。
普通株式 | 優先株式 | |
市場 | 東証一部 | 東証一部 |
銘柄コード | 2593 | 25935 |
売買単位 | 100株 | 100株 |
発行済み株式総数 | 89,212,380株 | 34,246,962株 |
議決権 | あり | なし |
配当 | 普通配当 | 優先配当 普通配当の125% |
無配当時の対応 | なし | 最低15円の 配当を累積 |
普通株式への転換権 | – | なし |
残余財産分配権 | – | 普通株式と同等 |
株主優待 | あり | あり |
普通株式と優先株式の大きな違いは議決権の有無と配当金の量です。
これを見ると個人投資家にとってはどちらが魅力的でしょうか?
どうしても議決権が欲しいという投資家以外の多くの個人投資家にとっては、配当金を125%もらえる方が魅力的なのではないでしょうか?
少なくともおじさんには優先株式が魅力的でした。それで優先株式を購入しました。しかし、そのおじさんの選択は間違っていました・・・・。
2種類の株式の株価推移
おじさんが優先株式を購入したのは2014年です。その頃は株価の差は20%~40%程度、普通株式の方が高値でした。おじさんはその理由を次のように考えていました。
- 機関投資家は、議決権のある普通株式を好む。また、長期投資家は優先株式を好む。したがって流動性は普通株式の方が高く、流動性の高さが株価にとってプレミアムとなり、優先株式と比べて高い値段となっている
- 普通株式と優先株式の価格の比はある程度一定の範囲を保つだろう(当時は1.2~1.4倍程度でした)。したがって普通株と優先株のどちらの株式を買っても長期的にはあまり差はない
- 差がないのであれば、配当額の高い優先株を買うのが有利
しかしながら、今では二つの株価は大きく差が開いてしまいました。
同じような動きをしていた普通株式と優先株式は、2015年以降普通株式ばかり上昇し、優先株式はあまり上昇していません。

今では普通株式の株価は優先株式の2倍を超えています。株価の比率の変化は次のようになっています。

この間優先株の方がすべての期間普通株式の25%増の配当を出し続けています。にも拘わらず株価の差が2倍以上ついてしまうのはどのような理由なのでしょうか?
流動性に注目してみましたが、良く分かりませんでした。
上の表にまとめていますが、発行済み株式は普通株が優先株の2倍以上あります。取引高の差はもっと大きく、10倍以上の差がある月がほとんどです(下記に毎月の取引高の比率=普通株÷優先株をまとめました)。

普通株式は出来高が多く、いつでも取引可能ですが、優先株式は一日と取引量が100単位程度の日もあります。ちなみに10月11日の取引は8500株、すなわち85単元の取引でした。下記のチャートを見ると、ちょっと物足りないですね。

これだけ差がついてしまったのは、やはり流動性の差が問題なのでしょうか?単純に議決権の有り無しの差だとすると、価格の差は一定の範囲内に収まるように思います。
優先株の流動性が悪い理由として、2007年に普通株1株に対して0.3株を割り当てることによりスタートしています。したがって元々100株の普通株式を保有していた株主には30株の端株(売買単元未満の株数)の優先株式しか付与されておらず、買い増しするのも面倒なのでそのまま放置している長期投資家もいるかもしれませんね。
それが正解だとすると、端株買取・買い増し請求のキャンペーンを伊藤園に展開してもらうか、優先株の売買単位を10株に変更すれば、もしかしたら優先株の株価は上昇していくかもしれませんね。
どなたか伊藤園の株価に詳しい方にご教授頂きたいです。
伊藤園の優先株式が高騰するチャンスはあるのか?
優先株式は、次の条件で普通株式に転換されると伊藤園のWeb Siteに書かれています。
- 当社が消滅会社となる合併、完全子会社となる株式交換、株式移転(当社単独によるものを除きます)。
- 当社普通株式に対する公開買付により公開買付者の株券等所有割合が50%超となった場合。
- 当社優先株式が上場廃止となった場合
1は買収された時の対応、2.は伊藤園に対する敵対的買収の防止対策として優先株を機能させるということでしょうか?この2つが発動されることはあまり期待はできないですね。
3番目の上場廃止ですが、伊藤園にとって優先株式のコストがメリットを大きく上回った時でしょうか?
株価の差が2倍以上ある状態で優先株式が普通株式に転換されたとすると、伊藤園の株価にはどのような影響があるでしょうか?
株価に影響を与える要因として、流動性・配当・議決権の3つを考えた時、それぞれの影響は次のようになりそうです。
- 流動性の観点からは全く問題なし。むしろ株式の種類が統合されることにより流動性は増す。普通株式の保有者にもメリット
- トータルでの配当原資を変更しないとすると、普通株式の配当金を増やすことが出来る。これも普通株式の保有者にメリット
- 議決権は希釈される。経営に積極的に関与していきたい大口投資家にはデメリット(どのくらいいるのでしょうか?)
おじさんの考察が正しければ、優先株式は上場廃止にした方が、ほぼすべての人が得をするのではないでしょうか?
優先株式を普通株式に転換したときに、何もせずに会社の時価総額が上昇するような気がします。
伊藤園さん!このまま優先株の人気が上がらないようであれば、優先株の上場廃止による普通株への転換を考えませんか?皆が得をする結果になるかもしれませんよ。
最後に株主優待も・・・
伊藤園は100株以上と1000株以上とで、それぞれ1500円, 3000円相当の飲料詰め合わせを頂けます。
普通株と優先株は別物として取り扱っているため、株主優待は普通株と優先株のそれぞれで頂けるようです。(おじさんは優先株しか保有していませんが)
ペットボトルや缶のお茶を普段からよく飲む方は、普通株と優待株の両方を保有してみるのも良いかもしれませんね。
ブログランキングに参加しています。
よろしければ次のボタンをクリック下さい。

株式長期投資ランキング
コメント