確定拠出年金の制度が始めったのは2001年です。日本版401kが始まると当時は少し話題になりましたが、確定給付年金である厚生年金に加入させられているサラリーマンのおじさんには全く関係のない話だったので、ニュースは全くスルーしてしまい、おじさんは真面目に考えたことがありませんでした。
時は経ち法律が改正され、2017年からは企業型確定拠出年金 (DC)に加入していないリーマンは個人型確定拠出年金であるiDeCo(イデコ)に加入できるようになりました。
おじさんの会社には数千人の従業員がいます。iDeCo加入の手続きのサポートが従業員からバンバン総務に送られてきたらその処理だけで総務は大変なことになります。会社の総務部は焦ったのでしょう。ほどなくして次のような内容の全社メールが送られてきました。
- 今年一年かけて企業型DCの導入を検討する。2018年1月からスタート予定。会社によるマッチング拠出あり。
- 今年からiDeCoにサラリーマンも加入できるようになったが、来年から企業型DCを始めるのでiDeCoの加入を継続できない
- iDeCoの加入は、企業型DC開始後の手続きが大変なのでDC制度が始まるのを待ってほしい(なるべくiDeCoに入らないでほしい)
前向きな検討をするのに、後ろ向きな内容の連絡でしたので、総務はめんどうなことに巻き込まれたと思っていたのでしょう。しかし、我々従業員にはうれしいニュースでした。
ということで、おじさんはiDeCoの口座は持っていません。
企業型DCに入っていないリーマンの方がiDeCoを開始するために口座を作るとしたら、多くの方は証券会社か銀行になるでしょう(後は保険会社でしょうか?)。
証券会社と銀行のiDeCoについて少し調べてみましたので記事にしたいと思います。
証券会社にiDeCo口座を作るとしたら?
嫁さんは小さい卸売の会社で働いているので、確定拠出年金なんていう難しい制度はありません。嫁さんに会社にiDeCo加入について聞いてもらったら、書類揃えてくれたら判子を押すよとのことだったので、おじさんの会社でDCが始まるとほぼ同時に嫁さんのiDeCoの申し込みを行いました。
嫁さんもイーバンク銀行に投資信託を少し持っていたおかげで楽天証券の口座を持っていたので、特に何も考えずに楽天証券でiDeCoを申し込みました。
楽天証券なので、人気の投信である「楽天・バンガード・全米株式」が iDeCoのラインナップに含まれていましたので、嫁さんは楽天バンガード前米株式を中心にiDeCoの運用を行っています。
先日の記事に少し書きましたが、楽天証券のiDeCoでは主に次の投資信託で資産運用を行えます(パッシブ投信のみ)
投資信託 | 信託報酬 |
三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド | 0.176% |
たわらノーロード 日経225 | 0.187% |
たわらノーロード 国内債券 | 0.154% |
三井住友・DC日本リートインデックスファンド | 0.275% |
楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド(全米株式)) | 0.162% |
たわらノーロード 先進国株式 | 0.110% |
楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天・バンガード・ファンド(全世界株式)) | 0.222% |
インデックスファンド海外新興国(エマージング)株式 | 0.605% |
たわらノーロード 先進国債券 | 0.187% |
三井住友・DC外国リートインデックスファンド | 0.297% |
今見ると、ラインナップがちょっと中途半端な気もしますが、楽天・バンガード・全米株式やたわら先進国株式といった信託報酬の低い投信が含まれていますので、アメリカ株式中心に運用したい人にはあまり気になりません。
一度iDeCoのラインナップを決めてしまうと、しがらみがあり別の投信を追加するのは難しいのでしょうか?楽天証券のラインナップは、リートや新興国株式など、信託報酬が高いものがあり、改善の余地がありそうです。
ただしiDeCoは積立額は限られているので、すべて「たわら先進国」や「楽天バンガード」などの王道の米国・先進国株式で運用し、新興国株式やリート・債権などその他のポートフォリオは、つみたてNISAなどiDeCo以外の枠を使って信託報酬の安い銘柄で運用すればいいので、楽天証券の今のラインナップでも大した問題ではありませんが・・・。
楽天証券以外の証券会社では、マネックスやSBI証券では、信託報酬を低く抑えていることで人気のあるeMAXIS SlimシリーズをiDeCoで運用できます。
有名どころのネット証券会社であれば、どこでiDeCoの口座を作っても大丈夫ですね。
ちなみに、おじさんがメインで使っているGMOクリック証券では,残念ながらiDeCoの取り扱いはありません。
銀行にiDeCo口座を作るとしたら?
株式投資はやらないので証券会社に口座を持っていないし作りたくないという方も多くいると思います。(このブログを見ている方は株式投資に興味がある方だと思うので、そういう人は少ないかもしれませんが・・・。)
おじさんは、日本の銀行は護送船団=横並び方式になっていて、どこでiDeCoの口座を作っても大して差はないものかと思っていました。
iDeCoの公式Web Site (iDeCo公式サイト)で各金融機関で扱っているiDeCo用投資信託の商品を見ることが出来ますが、横並びなんてとんでもなかったです。
iDeCoの公式サイトでは、次のような注意喚起がなされています。
様々な金融機関がiDeCoを取り扱っています。
金融機関ごとに、その特徴、取り扱う運用商品、加入時や毎月の口座管理等にかかる手数料などが異なりますので、よく比較しましょう。
調べてみたところ、銀行は未だ旧態依然として信託報酬の高い投資信託を売っているところが多いです。信託報酬0.6%どころか1%を超えているパッシブ運用の投資信託をiDeCoとして売っている銀行や信用金庫もあり(2019/10/22現在:iDoCo公式サイト内の情報より)、0.3%未満の投資信託を用意している銀行が非常に良心的に感じてしまうほどです。
地方銀行ならまだしも、都市銀行でもひどい有様な銀行があるのには驚きました。都市銀行でiDeCoの口座を作るのであれば、「みずほ銀行」をお勧めします。「三井住友銀行」と「りそな銀行」でもそれほど悪くないと思います。
しかし、三菱UFJ銀行でiDeCoの口座を作るのは、2019年10月22日現在おすすめできません。(地方銀行や信用金庫までは見切れていませんので、口座を作る前には必ず商品を確認してください)
都市銀行のiDeCoラインナップを紹介していきます。
みずほ銀行
低い信託報酬で人気のたわらノーロードシリーズをiDeCoにラインナップしています。
投資のソムリエなるバランスファンドはあるものの、基本的にパッシブ運用のたわらノーロードシリーズから選ぶことになります。アクティブファンドはありません。
山崎元さん監修なのかと思うくらいの潔さです。本来iDeCoはこうあるべきです。
2019年10月1日現在のラインナップです。

これだけです。シンプルですが、無駄がありません。
リスクを取れる人は、たわらノーロード先進国株式一つで良いと思います。(所得控除があるので、皆リスクを取れる人だと思いますが・・)
りそな銀行
ごちゃごちゃしていますが、低い信託報酬を売り文句にしているSmart-iシリーズがきちんとiDeCoにラインナップされています。
eMAXIS Slim、ニッセイ、たわら等と比べると Smart-iシリーズは信託報酬は少し高いものが多いですが、それほど差が大きいわけでもありません。
また、リートに関しては業界で最低の信託報酬ですので、定年までリートが有望だと考えている方にはりそなでideCoを開設するのも良いでしょう。

三井住友銀行
ちょっとごちゃごちゃしていますが、パッシブ運用の投信を選べば問題ないと思います。信託報酬は、eMAXIS Slim、ニッセイ、たわら等と比べると、三井住友の投資信託は少々見劣りします。もう少し努力してほしいものです。

標準コースは問題ありませんが、もう一つ「みらいプロジェクトコース」という、ESG (環境、社会、ガバナンス)を筆頭に今流行りの言葉を並べてアクティブ投信を買ってもらうタイプのiDeCoを用意しています。

この「みらいプロジェクトコース」は、たぶん買ってはダメなやつです。
アクティブ投信ばかりで信託報酬が高く、運営管理機関手数料を無料は信託報酬で取り返されておつりまで銀行にわたってしまうような、銀行が売りたいものを買わされるプラン設計になっているように見えます。

また、みらいプロジェクトコースの加入者数に応じて、三井住友銀行が全額を負担して「困っている子供達」を対象に寄付を行うようですが、いきなり関係ない話を持ち出して何を言っているのかいま一つ分かりません。
(これ、そう言ってはダメなやつでは?せめて、収益の一部を寄付させていただきますと書かないと三井住友内部のコンプライアンスに反しないのでしょうか?)
ということで、三井住友銀行でiDeCoに入ろうと思っている方は標準コースに入りましょう。
ESGは今までも今後ももちろん重要です。が、ESG投資は、投資信託というブラックボックス化した金融商品で行わず、投資家が個人で判断して個別株に投資するべきです。(理解出来ないものには投資しない。理解したものに投資しましょう。)
また、三井住友銀行は、「困っている子供達」を助けたいという思いがあるのであれば、標準コースの加入でも銀行負担で寄付をしていただきたいです。
三菱UFJ銀行
三井住友同様、2つのコースが用意されています。
一つが商品を絞ったパッシブ運用のみの「シンプルコース」、もう一つは充実したラインナップの「標準コース」とのこと。
元の「シンプルコース」のラインナップです。

まさかのeMAXISシリーズ登場です。PDFをクリックして、何かの冗談かと思いました。eMAXIS Slimはネット直販専用で、三菱UFJ銀行では売れないのでしょうか?
MUFGグループのネット証券であるカブドットコム証券のiDeCoも見てみましたが・・・・、こちらもeMAXIS Slimはラインナップにありませんでした。
長期投資しかできないiDeCoで信託報酬の高い投信を買う合理的な理由はなにもないので、三菱UFJのiDeCoに入るのはやめておきましょう。
三菱系の投資信託をiDeCoで買いたい方は、マネックス証券のiDeCoに入りeMAXIS Slimで運用してください。
シンプルでこれなので、標準コースの紹介はやめておきます。
ちなみに、三菱UFJ銀行のつみたてNISAのラインナップを見てみましたが、eMAXIS SlimはありませんでしたがiDeCoよりはまともな商品をそろえていました。
簡単にまとめ
年金なので、一度加入してしまうと、金融機関を変更するのも一苦労です。また、定年までの長期投資を大前提としていますので、信託報酬の高いインデックス投資を行う合理的理由は何一つありません。
iDeCoはどこで加入しても同じだとは思わずに、商品のラインナップをきちんと調べ、信託報酬の低い商品をそろえている金融機関で申し込みましょう。
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